プロトマニアの荒川陽子です。本から、の続き・・・
視覚だけでなく、その他の感覚も発見とよろこびへ通ずる道になることは、においや音がわすれられない思い出として心にきざみこまれることからもわかります。
ロジャーとわたしは、朝早く外にでて、別荘の煙突から流れてくる薪を燃やす煙の、目にしみるようなツンとくる透明なにおいをかいで楽しんだものでした。
引き潮時に海辺におりていくと、胸いっぱいに海辺の空気を吸いこむことができます。いろいろなにおいが混じりあった海辺の空気につつまれていると、海藻や魚、おかしな形をしていたり不思議な習性をもっている海の生きものたち、規則正しく満ち干を繰りかえす潮、そして干潟の泥や岩の上の塩の結晶などが驚くほど鮮明に思い出されるのです。
やがてロジャーが大人になり、長いあいだ海からはなれていてひさしぶりに海辺に帰ってくるようなことがあったなら、海のにおいを大きく吸いこんだとたんに、楽しかった思い出がほとばしるようによみがえってくるのではないでしょうか。かつて、わたしがそうだったように。
嗅覚というものは、ほかの感覚よりも記憶をよびさます力がすぐれていますから、この力をつかわないでいるのは、たいへんもったいないことだと思います。
The Sense of Wonder センス・オブ・ワンダー」レイチェル・カーソン 著 上遠恵子 訳 P35より抜粋
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