いきなり引用ですが、
・・・息を吸う行為にはすでに吐くことが含まれており、心臓から血液が送り出されるとき、同時に血液は心臓に送り込まれている。合成と分解、酸化と還元、結合と切断。逆向きの二つの作用は、互いに図と地の関係にあって、一方に着目すると他方は隠れて見えなくなるが、決して対立しているわけではない。むしろ補い合っている。これを西田は、絶対矛盾的自己同一と呼び、生命の定義とした。長らく西田哲学と格闘してきたが、ようやく西田先生を身近に感じることができるようになった。(「動的平衡は利他に通じる」福岡伸一著 朝日新聞出版より抜粋)
ここで西田と言われているのは、哲学者 西田幾多郎のこと。福岡伸一さんは、みなさんもよくご存知の分子生物学者で芸術にも造詣が深い方です。
この文章に出会ったとき、私は目の前がパァッと晴れる感覚がしました。
晴れる感覚はどこに反応したのかな?と思ったら、《逆向きは決して対立ではなく、むしろ補い合っている》というところ。
・・・補い合っているんだ〜!
逆向きは、戦争と平和、成功と失敗、勝者と敗者、のような言葉になると対立のイメージが強くなるけれど、よくよく丁寧に見たらそんな単純なものではないですね。白と黒の間に限りないグレーのグラデーションがあるように。
世界は本当に豊かで美しいのだと、分子生物学者も哲学者もきっと信じていた、いるに違いありません。何事も丁寧に観察していくことが、目の前の世界をどんどん豊かにしてくれるのだろうなぁと思いました。
というわけで、今月のお話し会は、4月19日(土) です。よろしければご一緒に。
◾️4月19日(土)13時〜15時 スティラスッカ お話し会+
|ファシリテーター|荒川陽子
|会場|プロトマニア
|参加費|2,200円(税込)
お申し込みは、こちらからどうぞ→
