デュフィ〜中尾先生と。

 

あっという間に2月もおしまいです。雨の木曜日でした。暖かくなったり、寒さが戻ったりしながら、季節は春へと向かっています。

さて、2月最後の日曜日は、

中尾陽一先生の これまで誰も教えてくれなかった〜絵画鑑賞白熱講座

でした。2月は「フォーヴ、もう一人の抒情詩人 ラウル・デュフィ」。いつものように作品をスライドでざっと見るところからスタート。

 

 

「デュフィというとどんなことが思い浮かびますか?」

と先生。

 

 

色がきれい 色が好き 見ていると幸せになる 軽やか 透明感 リズム感・・・

などなど。

 

「日本でも人気のあるデュフィは、新井満さんの小説  の中で紹介されて一般に知られるようになったんですよ。」

フランス、ノルマンディー地方のル・アーヴルという港町で貧しいながらも音楽好きの一家に生まれたデュフィ。コーヒーの輸入商社で働きながら、はじめは趣味で市立美術学校の夜間クラスに通って絵を学んだそうです。その後、奨学金を得てパリに出てそこからは絵描き人生まっしぐら。あまりにも絵が巧く描けてしまうので、利き手ではない左手に筆を持ち替えて絵を描いたそうです。(なぜ巧くちゃいけないのか?って思うかもしれませんね。それは、中尾先生の講座で絵をたくさん見て先生のお話を聞いているとジワジワとわかって来るんです〜♪)

そしてマティスの『豪奢・静謐・逸楽』を見て衝撃を受けます。これでフォーヴィズムの洗礼を受けたデュフィは、

「この作品の前で私は絵を描くということの新しい意味を全て理解した。線と色彩の中に導入されたこの想像力の奇蹟を眺めた時、印象派風の写実主義は私にとって完全にその魅力を失ってしまった・・・」

デュフィはその後活躍の場を広げ、アポリネールの詩集に挿絵を描いたり、ファッションの世界に触れてプリント生地のための木版画を制作したりすることで、そのデッサンに柔軟性が加わり、色調を明るいものにしていきます。

 

 

「デッサン力とはなんですか?」という参加者の質問に、

 

 

「まずは、シルエットが正確に描けているか。そして、画面の中で対象がいい形になっているか、つまり線描が面白いだけでなくより良い形を見出しているか。」

 

 

「デッサンは、描写力だけの問題ではないんです。いくら写実的に描いていても、それをデッサン力があるとは言えません。デッサンはものの見方。画面の中で、これ以上動かせない構図と線と形が描けているか。調和しているか、ですね」(カッコイイ〜〜笑)

 

みなさんからも鋭く本質を突くことばが飛び出しました。

「デッサン力なんかより、素直に絵を見たら最初に色分けをしてそこに形を与えているように見えます。色から来るこの幸福感は、解放感でもありますね」

・・・! パチパチパチ〜〜

「絵の中で最も大切なのは色彩です。色彩は光によって生まれます。色彩を生むために自然は光を用います。光を描くために画家は色彩を用います。

 

 

ご自宅のリビングにずっとデュフィのポスターをかけていて、本物を見るためにフランスに行かれたご夫妻が参加してくださいました。フランスまで行ったのに美術館が工事中だったり何度も何度もフラれて(苦笑)、ついにはフランス在住のお友達に頼んで展示されているかどうかを見てもらい、確認をとってから飛行機に乗ったとか。それほどまでしても見たいデュフィの魅力、作品! たっぷり鑑賞しました。

 

人生で『この一枚!』という作品に出会うことは、幸せですね。

中尾先生は、絵を見る時のポイントをさりげなく織り交ぜて、どうしてそれは良いのか?どこから見ていくとそれがわかるのか?を伝えながら参加者の感じたことを引き出します。

もちろん、絵は自由に見ればよいけれど、自分だけでは見えない、気づかない絵の中の一つ一つの形、色彩、その奥にあるたくさんの情報やエネルギーがある。それを中尾先生のリードと参加者の複数の目と感受性が、浮き上がらせてくれるのです。

「みんなで見るのは面白いね」

という参加者のつぶやきを聞いて、私はとってもとっても嬉しかったです。

 

次回3月は、イタリアの画家ジョルジョ・モランディを取り上げます。ぜひご一緒に。

 

そして4月から中尾先生は新講座をスタートします。みなさんも最近本屋さんでよく見かけられると思いますが、今、美術鑑賞にまつわる書籍が何冊もビジネス書のコーナーに平積みにされています。

美術をじっくり見ていくことで、数値にならない直感力、判断力を養うこと、グローバルなビジネスパーソンの教養として美術を学ぶこと、などなどがそのテーマ。そんなことは中尾流でずーっとやっている!と私は思ったものですけれどね!

ビジネスパーソンじゃなくてももちろんオーケー、土曜日開催、ぜひ参加してくださいね。

ビジネスパーソンのための絵画鑑賞講座

 

そして、展覧会に行った時に今よりもっと楽しく絵を見ることができる講座もご用意しています。

美術鑑賞はじめて講座

この講座では絵を見る時のポイント、真贋とは?、いい絵って何?のコツをお伝えします。

 

プロトマニアの少人数ならではの丁寧なアートレクチャー。ここだからこその面白さをぜひ体験してください。お申し込み、お待ちしています。