急に秋の空気になったせいなのか、ふとおとずれた静寂。
ささやかだけれど私にとっては大きな気づきがやって来た。
「 ははん、これはあまりにも慣れ親しんだ風景過ぎて、それと気がつかなかったわ。」
目の前にずっと隠れていたなんて、なかなか洒落たことをしてくれるじゃありませんか。
あらゆるものからの自由を求めて旅に出たつもりだったのに、
実はその風景がとても気に入っていてずっとそれと戯れていたのだった。
よくある話だけれど。
渡 る
いまいるところから他のところに行く。
それには単に旅への期待だけでなく
慣れ親しんだやりかたを捨てること
聖なる叡智を敬うことが必要だ。
古い場所から新しい場所に移動する。
目的地もわからぬ道を見わけ
何も得られない可能性に
持っているものすべてを賭けることだ。
あなたは単に成長と窒息の結合
可能性を苦痛につなぐ輪。
こうしてあなたは自らの炎の番人となる。
いまいるところから他のところへ行く。
それは冬に
凍える寒さから身を守るためだけに
鳥が春の巣の美しさを思い出すのに似ている。
「今日という日は贈りもの」より
ナンシー・ウッド著 井上篤夫訳
