今年、私は自分にご褒美をあげています。それは、毎月1回、生演奏を聴きにいくこと。
昨夜はサントリーホールで、東京フィルハーモニー交響楽団の演奏会でした。指揮は、尾高忠明さん、そしてピアノの演奏が舘野泉さん。
1つ目のプログラムは、尾高忠明さんのお兄様、尾高惇忠さんがピアノ連弾用に作曲した『音の旅』。この曲は宮沢賢治の童話にインスピレーションを得て作られたとのこと。管弦楽用になったその中から3曲が演奏されました。美しく優しいメロディーは、心に沁みるようでした。誰か疲れていたり寂しい人が聴いたら、そっと撫でてもらうようで涙が出ちゃうんじゃないかと思うくらいに美しかった。いつか全曲聴きたくなりました。尾高忠明さんの指揮する姿は、クラシックで美しく端正でした。
2つ目のプログラムは、左手のピアニストと今は言われている舘野泉さんが弾くラヴェルの『左手のための協奏曲』。館野泉さんは車椅子で登場し、ピアノの椅子へとゆっくり移動されて曲が始まりました。その左手からは、一つの手とは思えない豊かな音が流れ出ました。左手だけで演奏されるのは、脳溢血で倒れられて右半身が不自由になったからです。それでも演奏活動を続けていらっしゃる89歳の姿。その音はもちろんのこと、存在から伝わってくることが何かあって、私は演奏後の嵐のような拍手(こんな拍手は初めて聴きました)を聴きながら、いったいなんだろう?と考えていました。
そして、私が受け取ったのは「しっかり生きろ」ということでした。音楽を愛していること、好きなことを続けること、諦めないこと・・・・いろいろ言葉はあるだろうけれど、ただひとこと、生きなさい!と言われているようでした。深くてぶ厚い生きなさい!でした。それだけその存在感が、密度が濃かった。おなかにズンと響きました。
下手な表現ですが、丁寧に作られた食事をした後のような、身体の中がきれいになるような晩でした。
