今年の春分の日は、スティラスッカのお話し会をプロトマニアでいたしました。3月20日の少し前から、30年前のオウム真理教に関する報道が多く見られました。スティラスッカのお話し会でも、この話題が出ました。
なぜ、優秀で真面目な若者があの尊師と言われた人の世界を信じて、無差別テロに関わったのだろうか?・・・
少し前の読売新聞に、地下鉄サリン事件の実行犯に死刑を言い渡した元裁判長の方の言葉が載っていました。 《無差別テロの不条理 言葉を失う》という見出しで書かれた、山崎学さんの記事です。
山崎さんが法廷で実行犯3人と向き合って感じたのは、
「生真面目で純粋だということ。世の中の疑問や矛盾を全て解決できる完全無欠の理論を追い求め、教祖の松本智津夫元死刑囚(執行時63歳)を盲信してしまったのだろうと思った。」
とありました。あの日のことは私も覚えていて、当時、表参道のギャラリーで仕事をしていたのですが、近所の画廊のオーナーが血相を変えて足早に歩いてきて私に向かって「おい、テロだぞ!日本も大変なことになった」と言ったのです。一瞬、なんのこと変わらなかったけれど、異常なことが起きているという緊迫感をその人から受け取りました。この東京で? 日常で普通に使っている地下鉄や駅で?
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なぜ優秀な若者が盲信者になるのか。なぜたまたま地下鉄に居合わせた人や家族の人生が、突然、変わってしまったのか。それを「事件」という情報で済ませないために、山崎さんの言葉を引用して記しておきます。
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元死刑囚たちは社会の疑問や矛盾を解決する手段としてテロ事件を起こしたが、解脱すれば一気に解決することなどあり得ない。世の中には法律で解決できない矛盾が多くあり、悩んで悩んで悩み抜き、一つ一つ話し合いながら解決していくのが人間社会だ。改めてそのことを訴えたい。
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