昨年からシリーズで鑑賞している中尾先生の絵画鑑賞白熱講座は、ようやく昭和の洋画に辿り着きました。こうして流れの中で日本の洋画を見て来ると、今では当たり前の油彩画は、才能と情熱に溢れた真摯な画家たちによって日本独自の洋画へと創造されて来たことがわかります。美術館の常設展などで作品と対峙する時、少なからぬ尊敬と共に作品をじっくり見るようになりました。
日本の洋画を取り上げる講座は、なかなか出会えません。この機会にぜひご参加ください。
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【講座の内容】
前回、第122回の講座でご紹介したのはともに1919年(大正8年)に20歳と22歳という若さで亡くなった夭折の画家・関根正二と村山槐多でした。
第123回の講座では、彼ら二人と同世代で、1928年(昭和3年)に30歳の若さでパリに客死した佐伯祐三と「1930年協会」の画家たちをとりあげます。
「1930年協会」はエコール・ド・パリの芸術華やかなりし1920年代のパリに留学した日本の若き画家たちー佐伯祐三、前田寛治、里見勝蔵、木下孝則、小島善太郎の5人によって、1926年(大正15年)に設立されました。

前田寛治 西洋夫人像 1925年
鳥取県立博物館

小島善太郎 静物「秋」 1928年
八王子市夢美術館
第1回展は彼ら5人の滞欧作品を中心とした発表の場でしたが、日本的フォーヴィスムを中心とした新しい作風が評判を呼び、第2回展からは公募展として広く若き才能が集結する場となりました。例えば、第2回展では、放浪の天才画家・長谷川利行の作品3点が入選し、佐伯祐三に高く評価されています。長谷川利行は第3回展では《カフェパウリスタ》や《地下鉄道》などを出品し協会奨励賞を受賞しています。

長谷川利行 カフェ・パウリスタ 1928年
東京国立近代美術館
また1929年に開催された第4回展では前年に亡くなった佐伯祐三の遺作89点を展示し、日本中の若き芸術家たちに強い印象を残しました。
しかし、1928年の佐伯の死に続いて1930年(昭和5年)には前田寛治も33歳で亡くなり1930年協会の運動は終焉に向かいます。
わずか5年ほどの短い活動期間でしたが、佐伯祐三や前田寛治ら「1930年協会」に関わった若き画家たちの情熱が昭和の洋画を切り拓いたことは間違いありません。彼らの若き情熱にあふれた絵画世界を堪能しましょう!
文責:中尾陽一
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◾️1月26日(日)13時〜15時 第123回これまで誰も教えてくれなかった〜絵画鑑賞白熱講座
日本洋画の流れと俊英たち 昭和の洋画(1)昭和の洋画を切り拓いた若き情熱、佐伯祐三と「1930年協会」の画家たち』
|講師|中尾陽一
|会場|プロトマニアとオンラインzoom
|参加費|5,500円(税込)/7,700円(税込テキスト付き)
*ほか、オンラインは2,200円(税込・視聴とチャットのみ)あり。