美術展を見るときに、知っているとより面白く楽しく積極的に作品を鑑賞できるのが美術史。でも、今さら勉強するのはちょっと・・・という方は、ぜひ中尾先生の鑑賞のための美術史講座をどうぞ。
中尾先生のお話はどの講座もそうなのですが、美術史、画家のエピソード、画材や技法のこと、その時代の世界のこと、、、と美術作品や画家をその時代全体や周辺情報と繋げて展開するので、講座で聞いた知識が頭のなかで立体的になります。印象に残りやすいし、何より楽しいです。
8月のテーマ「ロートレック」は、お馴染みの画家ですね。現在、SOMPO美術館(東京・新宿)でも展覧会開催中。この展覧会ではロートレックのポスターや素描などに注目して構成されているようです。まずは、ロートレックという画家がどんな生い立ちでどんな作品を描いていたのか、中尾先生のこの講座で聴いてみてください。9月には、別途、SOMPO美術館の展覧会の対話型鑑賞講座を準備しています。このチャンスに、ぜひロートレックの魅力を深く知って味わってください。では、まずは美術史講座のご案内です。
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【講座の内容】
今回の講座では《ポスト印象派》の中から《ロートレック》の世界を鑑賞します。
南仏トゥールーズの大貴族の御曹司として生まれながら、身体的ハンディキャップのせいで、パリの夜の世界に耽溺せざるを得なかったロートレック。

四頭立て馬車を駆るアルフォンス・ド・トゥールーズ・ロートレック伯爵
1880年
※ロートレックが16歳の時に描いた父親の像です
彼はモンマルトルの歓楽街をアトリエとし、そこに生きた人々の真実の姿を、鋭い観察力と卓越したデッサン力で活写しました。
そして、数々の油彩画の名作と画期的なポスターを残して、1901年に36歳の若さで亡くなります。まさに世紀末を駆け抜けた天才画家ですね。

アトリエのロートレック
描いているのは名作《ムーラン・ルージュの舞踏会》です

ムーラン・ルージュの舞踏会 1890年

ムーラン・ルージュ、ラ・グリュ 1891年
このムーラン・ルージュの宣伝ポスターはパリ中に貼り出されて
一躍ロートレックを人気のポスター作家に押し上げました。
※《ムーラン・ルージュの舞踏会》にも描かれている人気の踊り子「ラ・グーリュ(大食い)」や彼女の踊りのパートナー「骨なしヴァランタン」が特徴のある姿で永遠の生命を与えられています。
ロートレックが生きた世紀末のパリでは、人々が繁栄を謳歌し、大衆文化が栄え、モンマルトル周辺のカフェやキャバレーには、夜な夜な様々な階層の人々が集い、悲喜こもごもの人間模様を繰り広げました。

イヴェット・ギルベール 1894年

ロートレックの最大の特徴はモデルとなった人物の外見だけでなく内面をも容赦なく抉り出す独特の線描にあります。
しかし、社会的弱者に向けられた彼のまなざしは共感に満ちています。

洗濯女 1884年
ロートレックが20歳の時の作品です
この講座では、ロートレックの作品はもちろん、当時のパリの雰囲気を伝える資料写真などをご紹介しながら、世紀末のパリへタイム・スリップの旅を楽しみたいと思います。
《予告》
この講座のスピン・オフ講座としてSOMPO美術館の《ロートレック展、時をつかむ線》の鑑賞講座を9月に開催予定です。
SOMPO美術館のロートレック展は総合展ではなくグラフィック作品が中心の展覧会ですので、まずはこの講座でロートレックの全体像をつかんでから展覧会に行くのがオススメです。
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◾️8月16日(金)18時30分〜20時 鑑賞のための美術史講座「近代ヨーロッパ絵画の流れ(11)ポスト印象派「ロートレック の世界」
第11回 ロートレックの世界 人間愛のまなざし
|講師|中尾陽一
|会場|プロトマニア と オンラインzoom(聴講のみ)
|日程|8月16日(金) 18時30分〜20時
|受講料|5,500円(税込) オンライン|2,200円(税込)*視聴とチャット
|テキスト|2,200円(税込) 講座で使用したすべてのスライドのPDFファイルをダウンロードできるURLを講座終了翌日までに事務局からメールでお知らせします。 ご希望の方は参加お申し込み時、または講座後にご購入いただけます。