6月の中尾先生「〜これまで誰も教えてくれなかった〜絵画鑑賞白熱講座」は、4月からスタートした新シリーズ『日本洋画の流れと俊英たち』明治の洋画の3回目。
教科書で見たことあるある〜の絵画作品が出てきます。あらためて日本における洋画を鑑賞すると、鑑賞力が深まる!そんな印象があります。では、先生からのご案内はこちら〜
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6月23日、第116回の講座では、黒田清輝に続いて明治の洋画史に大きな足跡を残した藤島武二と青木繁の明治浪漫主義絵画の世界を鑑賞します。
1908年(明治37年)の第9回白馬会展に出展された藤島武二の《蝶》と青木繁の《海の幸》は、それまで黒田清輝が牽引してきた外光派の写生的な絵画とは異なる趣の絵画でした。
ここから藤島と青木はそれぞれの浪漫主義的嗜好を表現した独自の絵画世界を展開します。
藤島は長い画業をかけて大胆な筆使いによる重厚な作品を完成させました。そして、絵画における最も大事なことは「サンプリシテ」と「エスプリ」だと語っています。
ともにフランス語でサンプリシテ(simplicité)は「簡潔、単純化」を、エスプリ(ésprit)は「精神、画家の気持ち」を意味します。自然を丁寧に写生することを第一義とした黒田流の外光派的美意識からは大きく逸脱した絵画観に到達していますね。
一方、青木は黒田流の写生ではなく、古事記にインスピレーションを得た自信作《わだつみのいろこの宮》が世間に評価されず、貧困と流浪の生活の末に28歳の若さで夭折します。今日、彼が短い画業の中で残した浪漫に満ちた作品群は明治洋画の至宝となっています。
明治の浪漫主義絵画を代表する藤島と青木の絵画世界を逍遥しましょう!
藤島武二 蝶 1904年(明治37年)
青木繁 海の幸 1904年(明治37年)
青木繁 わだつみのいろこの宮
1907年(明治40年)
藤島武二 黒扇 1908年(明治41年)
藤島武二 東海旭光 1932年(昭和7年)
◾️6月23日(日)13時〜15時 第116回これまで誰も教えてくれなかった〜絵画鑑賞白熱講座
日本洋画の流れと俊英たち(3) 藤島武二と青木繁の明治浪漫主義絵画
|講師|中尾陽一
|会場|プロトマニア と オンラインzoom
|参加費|5,500円(税込)/7,700円(税込テキスト付き)
*ほか、オンラインは2,200円(税込・視聴とチャットのみ)あり。