彫刻家の佐藤忠良さんが「美術を学ぶ人へ」という文章を書いています。とても素敵なので、私はウェブに載っていたそれを保存して、たまに読み返します。
ここに全部を載せられないので、よかったら「美術を学ぶ人へ」「佐藤忠良」とキーワードを入れて検索してみてください。

・・・この10年、と言ってもほぼ週末の限った活動ですが、プロトマニアでいろんなことをやって来て、私がやりたいことは「すぐ結果が目に見えて出る」の正反対のことなので、伝えるのも、宣伝も、人集めも、とても難しかったなと思います。バズることはまず、なかったです(笑)。
ヨガの師匠が「丹田という場所があるのではない」「腹筋だって、近代になってそういう名称をつけただけで、そんなことを知らない頃から人間は肚を当たり前に鍛えていた」と言っていました。かつての人間が知っていたことを、私たち現代人は分かりにくい感度になっているみたい。
そして、科学が証明しないと安心して信じられないようになってしまったわけですが、「科学もそれを証明しています」となんとか納得してもらおうとする本末転倒さが、時々ププっと可笑しくなることがあります。
知ることは目に見えることで大切。感じることは目に見えないけれど、知ることと同じくらい大切。
喜び、悲しみ、怒りは、言葉で知っていても、それがどんなものか深く感じられないと、本当の意味で「知っている」ことにはならないかもしれません。
佐藤忠良さんは、
「美術をしんけんに学んでください。しんけんに学ばないと、感ずる心は育たないのです」
と書いています。科学技術と違って美術は環境を変えられないけれど、環境に対する心を変えることができると言います。「詩や絵に感動した心は、環境にふりまわされるのではなく、自主的に環境に対面できるようになるのです。」
感じる心が育たないと自主的に世界と向き合えない。想像力も育たない。相手の気持ちを想像したり、想像して判断したり行動したりすることができないなぁと思います。直接的でないもの、すぐに役に立たないように見えるものは、後回しになりがちだけど、しんけんに学ぶことでそれは育つのだという忠良さんの言葉は、信頼できます。それが美術でなくても、しんけんに学ぶことは、いいね。
