プロトマニアでやっている中尾先生の絵画鑑賞講座はベースが「対話型絵画鑑賞」で、数年前にビジネス界でも注目されて今や定着した感があります。この鑑賞をすることで得られるものとして、絵画を見て、
感じたことを言語化する、人に伝えるための論理的思考力がつく、直感力を鍛える、アートの教養を身につける、観察力、コミュニケーション力、傾聴力・・・・いろいろトレーニングされる結果、職場の人材育成、地域活動、学校教育などで役立つ。その鑑賞方法を学べば(つまりファシリテーターの基礎を学べば)、人間関係を上手に作るのにも活かせる、従って仕事上リーダーやイベントの主催者として役立つし、自分自身がファシリテーターになって子供からお年寄りまでに提供できる対話型鑑賞を指導できるようになる。
そんないろいろいいことがあるわけです。
中尾先生の講座は対話しながら絵画を鑑賞しますが、世の中に出回っている対話型鑑賞とは違うオリジナルです。中尾先生が持っている美術史的な知識や画家、作品をめぐるさまざまなエピソードを交えながら、絵を見ることをとにかく楽しむのが目的だからです。
その結果、細部まで見る観察力が付いたり、パッと見て感じる直感力が鍛えられたり、思っていることを他者に伝えるための言語化能力がアップしたりしていると思います。ただそれは、繰り返しながら、徐々に、ふと気づくと変化しているということです。

世の中には、すぐにできるようになること、すぐに答えを知りたがること、すぐに解決する方法を選ぶこと、そんな「すぐ」がたくさん。
すぐ、が必要な時もあるけど、何かわからないことに耐えたり、なかなか進まないことから逃げずに踏ん張ったり、寄り道しながら進むことも大事じゃないのかなぁと思います。
自分と向き合って対話したり、他者と出会って対話することは、自分が何を考えているかを知り、他者とは違うことを知り、違うことを恐れずに互いを認め相手の考えを尊重する力が必要です。その力は能力の力じゃない。本当にちから、エネルギー、体力と思う。
違いや違和感は、そこに何かを発見して自分の世界を広げるチャンスでもあります。でもこういうことって、すぐにはできないと思うのです。繰り返し繰り返し、それ違う!とムッとしたり、やられた〜!と驚いたり、くっついたり離れたりしながら、少しずつ少しずつ胆力がつく。そうするうちに自然と違いを飲み込んで楽しめるようになっていて、いわゆる幅が広がって世界が大きくなるのです。自分以外のものに出会うことで自分を知ることができる。
私が中尾先生の講座が好きで、プロトマニアで100回以上続けられたのは、そんなことを知らず知らずのうちにやって、少しずつ自分の軸が太くなっていくのを実感したからかもしれません。(もちろん、お話が楽しくて他にはない!と思っているのが一番だけど)
アートは答えがないし、アートの鑑賞法も様々です。同じようにメソッドに沿って勉強しても人それぞれに違った結果が出ます。そして、先生と言われる人が何を軸にしているかで、メソッドのゴールらしきところにある風景は全然違うと思います。
いい先生に出会うのも、運、かもしれませんね。
