佐野洋子さんの「100万回生きたねこ」、読んだことありますか?
1977年に出版された絵本です。
いろいろな飼い主のところに生まれては死んで、生まれ変わること100万回。
それぞれの飼い主はねこが死ぬと大声で泣きました、でもねこは一度もけっして泣きませんでした。
ある時ねこは、誰の猫でもない野良猫に生まれ変わり、100万回生きたことを自慢しました。
めす猫たちが手を変え品を変え、このねこのおよめさんになりたがるのですが、
ねこは「100万回も生きたんだぜ、いまさらおっかしくて」と誰のことも相手にしません。
でもたった一匹、白いめす猫にだけは違っていました。
ねこは白猫が大好きになって、ずっとそばで生きていたいと初めて思い、
やがて仔猫たちが生まれて仲良く暮らし年をとりました。そしてある日、白猫は動かなくなっていました。
そこでねこは、はじめて100万回泣きました。
そして、ねこは動かなくなって、二度と生まれ変わることはありませんでした。
と、そういうおはなしです。
テーマは何? と読み継がれて来た絵本。
愛されるより愛することが大切とか、他者を愛して初めて歓びや悲しみを知る、とか…?
佐野洋子さんは、そんなテーマで描いていたのかなぁ…
何事もこうあってほしいイメージとか、こうあるべきイメージ、に結びつけてしまいがちなのですが、
実は混沌としていて分からなくて、でもある意味ものすごくシンプルなのかもしれませんね。
私は単純に、この絵本のねこの悪そうな顔が好きなのです。
