ひとの帰りを迎える時、見送る時、
私は自分自身の心中が曇り空や竜巻であろうと、
できるだけその時は気持ち良く迎えよう、気持ちよく送り出そう、
とこころがけています。
それはある方から伺ったお話。
その方にはお子さんがいらっしゃらないのですが、研究職のご主人ととても仲の良いご夫婦でした。
ある朝、お二人はちょっとしたことで口喧嘩をしてしまって、
ご主人がいつものようにお出かけになる時に、彼女は不機嫌な顔のままご主人を送り出したそうです。
そんなことは誰にでもいつでもありそうなことですが、そのままそのご主人がお家に帰ることはありませんでした。
外出先で突然、亡くなってしまったのです。
まるで小説かなにかのようですが、本当のお話です。
そのときは二度とない、ということはわかっているつもりでも忘れてしまうのです。
だから、外から帰って来たひと、これから出かける人、
そのひとには笑顔で。
…なるべくね、と自分自身に微笑みます。
