不思議な夜

仕事から戻って、夕食の支度をしようとしたまさにその時、幼なじみから連絡があって急に一緒に夕食に行くことになりました。子どもの頃、あそびましょ〜〜と誘いに来た時と同じように急に。

車に乗せられて30分くらい走って着いたのは、私には初めての街。

そこは彼にとっては馴染みであり懐かしい街らしく、車を停めると夜の住宅街をどんどん歩いて抜け、ひょいと角を曲がると・・・目の前に商店街らしき通り。街灯だけじゃなく提灯までが賑やかに灯っていました。道の両側に間口の狭い小さな飲食店がずらりと並んでいて、大体のお店の正面はガラスのドアや小さな窓。そこから中の様子が見えます。お店の外に出ている看板やメニューはいい加減な作りというか、手作り感いっぱいで、街全体の薄ぼんやりした光の中でもそれぞれの個性が感じられました。そう、チェーン店が連なる商店街とは全く違うのです。

幼なじみは、この一帯を夜な夜な遊び歩いていたらしい。お目当てのお店に入ってカウンターに座り、いろいろとおいしいものを食べさせていただいて、お店の方と彼が懐かしそうに話すご無沙汰話を横で聞きながら、私はあまり強くもないお酒を飲んだりして、ものすごく久しぶりに外で夜の時間を過ごしました。

この10数年、ほとんど目にすることがなかった夜の街の風景だったせいなのか、昼間ここに来たら、全く違うお店が並んでいたりして!?、もっと言えば、この商店街自体が消えていたりして!!・・・な〜んて妄想してしまったくらい、私の日常とは別のリアリティ。ちょうど街全体が舞台装置のよう、もしくはどこかの撮影所に迷い込んだ気分でした。

中央線沿線にあるれっきとした街です。今度は昼間、行ってみよう。