
春がやってきました。
九段の桜はちらほら咲き始め、木蓮の花は満開。お濠の菜の花やユキヤナギは勢いをつけて、これからもっと元気になることでしょう。

「生まれて、生きて、終末を迎える」をくるくる繰り返し、その間、私たちの目には見えなくとも静止することはなく、動きながらバランスしている生命。

だからいつも新しい。数ヶ月前に会ったあなたと今のあなたは同じではないから、今は今しかないのです。昨日は居たのに今日は目の前から消えてしまったり、昨日まではなかったものが今朝は目の前に現れたり、驚きの連続です。

世界はワンダーランドで、センスオブワンダーを持ち続けていれば、同じに見える時間も空間も、実は全く違うもの。そんなあれこれを、きっといつも考えておもしろがっていたのだろうと思うあの人は、あっという間に違う世界へ。
今も目に浮かぶ立ち姿、腕を組んで居眠りする姿、ゆっくりした語り口、一目でその人のものとわかる文字・・・これからまだまだお願いしたいことや伺いたいことがあったのに。
敬愛する陶芸家、川崎毅さんのご逝去を悼み、心よりご冥福をお祈りいたします。