星の王子さま

昔から読んで手元から離さない本は、星の王子さま。

箱根には星の王子さまミュージアムがあるのですが、ここは一見の価値ありです。

え〜〜〜〜っ?ホント〜〜〜??と思われるかもしれませんが、侮ることなかれ(笑)

星の王子さまミュージアムは、舞台に迷い込んだような展示スペースや建物、お庭の草花などなど、どれもよくできています。子供の頃連れて行ってもらったお芝居の舞台の照明や劇場の暗さなどを思い出して、とてもワクワクします。

そしてなにより、作者のアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの生涯がよくわかります。

サン=テグジュペリの残した本は、星の王子さまだけではなく読んでみると、その時その年齢で味わい深いものがあります。

「どうしたら、ぼくらの心の中の、この一種解放感のような状態を、助成することができるだろうか? 人間にあっては、すべてが矛盾だと、人はよく知っている。ある一人に、彼が思うまま創作に力をそそぎうるようにと、食う心配をなくしてやると、彼は眠ってしまう。勝利の征服者はやがて軟弱化する、気前のよい男に金を持たせると守銭奴になってしまう。人間を幸福にしてやると称する政治上の主義も、ぼくらにとって、はたしてなんの価値があるだろうか。もしあらかじめぼくらが、その主義がどんな種類の人間を幸福にしようとするのを知らなかったら。だれが生まれるのか? ぼくらは、食糧さえあれば満足する家畜ではない、またぼくらにとっては一人の貧しいパスカルの出現が、らちもない富豪の出現などよりずっと価値がある」

「何がはたして本質的だか、ぼくらは予知できない。ぼくらは、いずれも味わってきた、まるで思いがけなかった所で、世にあるかぎりの暖かい喜びを。それは、ぼくらに、はげしいノスタルジアを残していった。ために、その喜びを与えた原因が、ぼくらの苦難であった場合、ぼくらは、その苦難までもなつかしいものに思うようになる。僚友たちとの再会で、ぼくらはみな味わってきている、つらい思い出の喜びを。 ぼくらを、豊富にしてくれる未知の条件があるということ以外、何が、ぼくらにわかっているだろう? 人間の本然は、はたしてどこに宿っているのだろうか?」(サン=テグジュペリ作 堀口大學訳『人間の土地』8.人間 より抜粋)