プロトマニアの荒川陽子です。3月の中尾先生白熱講座は、連休の日曜日。アメリカの画家エドワード・ホッパーです。
エドワード・ホッパーの絵は、なんとなく映画の一場面のようで、想像力を掻き立てられます。日常の風景の中に隠れたもう一つの世界のような不思議なムードがある作品。
コロナウィルスの感染報道や不安にちょっと疲れたら、アートでひと息入れてください。中尾先生の講座は、4月からオンライン講座も予定しています。どうぞお楽しみに!
それでは先生からのご案内文をどうぞ。
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第69回《〜これまで誰も教えてくれなかった〜『絵画鑑賞白熱講座』》
アメリカ、都会の孤独、郊外の光と闇 エドワード・ホッパー
3月の白熱講座、まずは前回時間切れとなって見ることのできなかったワイエスの《ヘルガ・シリーズ》の鑑賞です。
ワイエスが15年もの長きにわたって妻のベティにも秘密にして、ヘルガというひとりの女性を描き続けていた、その作品群とは?
それから、宿題(?)となっている斎藤茂吉の短歌:
「ゴオガンの自画像見ればみちのくに山蚕(やまこ)殺ししその日おもほゆ」(赤光)
の鑑賞は時間の関係で、4月の第70回特別講座に組み込むことにします。まだまだ時間はたっぷりあります。あれこれと想像を巡らせてみてください。
さて、第69回の鑑賞のメイン・ディッシュはワイエスも尊敬するエドワード・ホッパー(1882-1967)です。ワイエスは1917年生まれですから、ホッパーは35歳も年長です。第65回で見たポロックは1912年生まれなので、ホッパーが30歳年長。第67回で鑑賞したオキーフが1887年生まれですから、ホッパーはオキーフよりも5歳年長です。ホッパーと言えば、アメリカの都市生活者の孤独を描いた画家というイメージですが、意外に旧い世代なんですね!
ホッパーもワイエスと同じアメリカン・リアリズムの画家に位置づけられますが、その作風は対照的です。
ワイエスは細部を描き込むことによって作品にリアリティーを持たせる描き方ですが、ホッパーは細部を捨て去ることによって逆にリアリティーを増幅させると言った作風です。細部を捨象する分、対象の本質がズバリと直截に表現されています。だったら、わかりやすい絵なのかと言うとそれが一筋縄ではいかないのがホッパー絵画の魅力です。
また、よく言われることですが、ホッパーの絵には《静寂と孤独》が漂っています。都会生活者の孤独だけだとわかりやすいのですが、郊外を描いた風景画にも独特な孤愁が感じられます。
それらはいったいどこからくるのか、またそれでホッパーは何を表現しようとしているのか・・・、いろいろ考えられます。右脳も左脳も使って鑑賞するのにぴったりの画家です。
《夜更かしの人たち(ナイトホークス)》 1942年 シカゴ・アートインスティチュート
《二階の日ざし》 1960年 ホイットニー美術館
《日曜日の早朝》 1930年 ホイットニー美術館
※ この講座は絵の知識を競うものではありません。絵を見る力が自然に身につく楽しい講座です。
※ いわゆる美術史の流れを知らなくても、その場で向き合った絵をどう感じたか、どう見るか、そしてそれをどう自分の言葉にするかを「わいわいがやがや」 の寺子屋スタイルで学びます。
※ 通史的な講座ではありませんので、いつからでも、興味のある画家の講座の時だけでも、 お気軽にご参加ください。
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