直感を鍛える!対話と鑑賞とシャルダン〜中尾先生と。

中尾陽一

 

先週4月最後の週末は、中尾先生のアートレクチャー。新講座「ビジネスパーソンのための絵画鑑賞講座」と、お馴染みの「これまで誰も教えてくれなかった〜絵画鑑賞白熱講座」を連日開催しました。

土曜日のビジネスパーソンのための絵画鑑賞講座は、1枚の絵を巡って対話する前半と美術史的な知識を身につける後半。私にも初めての体験なので、どんな風に講座が進むのかワクワク。

まず先生がスライドで見せてくれたのは、この絵。

この絵を参加者全員が観察します。

 

中尾陽一アートレクチャー

今、ここで何が起こっていると思いますか?

 

登場人物のそれぞれの様子も細かく見ていきます。

 

この絵の中で起きていることをストーリーとして想像してみます。

描かれている人物の様子、服装、持ち物、表情・・・さまざまなディテイルから皆さんの羽ばたく想像力が膨らんで、この絵の中で起こっていることがどんどん言葉になって話されていきました。見逃してしまいそうな細かいところまで指摘された皆さんの観察力は、凄かったです。

ここでは何が正しいかは重要ではなく、絵から受け取る印象や、絵の中にある様々な情報を観察して自由に想像することを楽しむ。時には大人の知識をいったん横に置いておく必要もある。なぜなら、例えば登場人物の職業を限定すると、その職業であればお金持ちのはずとか善人のはず(笑)とか、先入観でストーリー展開してしまいますから。

全員が十分に発言して、絵の中の物語にそれ以上の飛躍がなくなった頃、中尾先生から絵の作者や主題が明かされました。そして、その画家がこの絵を描いた時代背景や画家自身についてのお話があって、空想のストーリーと実際の絵のストーリーを2度味わいました。もうこの絵のことは忘れないかも(笑)

こんな対話型鑑賞を繰り返し、大人になるまでに勉強した知識を再認識したり、あるいはちょっと距離をとってみたりしながら、左脳的思考とは違う場所にある感性を目覚めさせ活性化していく。人生の様々な場面できっと助けになる直感力は、こんなトレーニングで鍛えられていきます。自身の直感を信頼できるようになるはず。

後半は、優美なサロン絵画から印象派への流れを見て、知識もしっかり先生から伝えられましたよ〜。

ブグロー(筆跡のないサロン絵画)

モネ(タッチで描く印象派)

次回の「ヒジネスパーソンのための絵画鑑賞講座」は、6月22日(土)13時からです。2回目からのご参加も大歓迎。ぜひご一緒しましょう〜

 

そして、日曜日はいつもの白熱講座。

ロココ時代の画家、シャルダン。

シャルダンってこんな人。(18世紀はこんなナイトキャップで寝ていたらしい笑)

 

シャルダンは、ロココの画家ですが、出身が職人階級。だから他の画家たちのようなキラキラひらひらした享楽的な美しいだけの絵ではなく、庶民の生活がわかるような静物や下働きの人々の姿を描きました。描かれた人と人のコミュニケーションまでも描き切ったシャルダンは、貧しくとも生きる喜びに溢れた人間像を描いて他のロココの画家たちとは一線を画していたのでした。

中尾流白熱講座は、みんなで一つの絵を見てワイワイガヤガヤ、あーでもないこーでもないと話しながら味わいます。それはなかなかに楽しい体験です。一人で静かに絵と対話することもとても豊かな時間。でもいろいろな人の感じ方、見方を聞いて、ほ〜そういう風に見えるのねぇと新しい発見も楽しいものです。

美術は社会の皮下脂肪のようなもの。いつも主役ではないけれど、なければ味気ない。あればきっとそこにゆったりたっぷりした豊かさがあるし、いざという時に心を助けてくれるものです。

中尾先生講座、ぜひ一度いらしてくださいね。来月もお楽しみに!

「第60回 これまで誰も教えてくれなかった〜絵画鑑賞白熱講座 エゴン・シーレ」

2019年5月26日(日) 13時から15時30分

お申し込みは、こちらからどうぞ→