中尾さんとイギリスを代表する画家、ターナーを鑑賞しました。
いつものように作品をスライドでざっと見て行きます。
ターナーは、1775年生まれで1851年に生涯を終えているのですが、この時代にしては長生き。76年の間に2万点以上の作品を描いて残しています。ちょっとした数ですよね。
14歳、若くしてロイヤル・アカデミーに入学を許可されたターナーは、20代半ばで既に一流画家と認められました。
自画像を見ると、順風満帆のエリート画家のようですが、実際のターナーは背が低くてわし鼻のずんぐりしたひとだった模様。・・・なぜにこの好男子自画像???
ターナーと言えば、どんなイメージですか?
といつものように参加者ひとりひとりに問いかける中尾さん。ターナーに持っているイメージを自由にひと言ずつ。特にない、よく知らない、そんな時は、それでオーケー。
ターナーは、初期には歴史画を描き、最終的に画業で行き着いたのは、光、そして海のエネルギーを表現する画面。参加者の印象は、広大は風景画と、モヤっとぼんやりした絵というイメージに分かれました。
具体的な物を最小限描いてはいますが、何が描いてあるかよりも、ターナーが何を描きたかったが伝わってくるよう。全体が渾然一体となって訴えかけて来る。
「ターナーは、自然のエネルギーを描くために、船の柱に身体を縛り付けて何時間も荒海の中でスケッチをしたといいます。」
この絵は、どんな風に見えますか?
タイトルは、『雨、蒸気、速度』です。そう、雨の中を向こうから汽車が走って来る。スピード感。
「五感で感じることを描こうとすると、かたちは消えて光も消えて原初の絵になっていく。それを左脳的にやったのが抽象画ということになるかもしれませんね。」
ターナーは若くして、目に見える写実的なものは完璧に描けてしまったのですね。描け過ぎてしまったその後どこへ向かうかというと、それが目には見えない海のエネルギーであり、光だったのです。彼の絵は、説明的でない世界へと進んで行きました。
さてそこで! この中尾流に登場したのは、日本画の長谷川等伯です。
「長谷川等伯に共通するものを感じます」 と中尾先生。
気韻生動
え〜っと・・・せいは、静でしたっけ??
中尾流の参加者には博識の方がいらして、たとえ先生が字をうっかり忘れても、すかさず助け舟が出ます(笑)
そして、「その絵は、等伯が愛息を亡くした後に描いたもの」とどなたかがおっしゃれば、「それを聞いてあらためてこの絵を見ると、余計に胸に迫るものがありますね」と他の参加者の方の感想。みなさん、知性・感性、豊かで素晴らしい!
気韻生動、気品が生き生きと立ち上る。等伯の作品は、自然が醸し出すエネルギー、目に見えない風までもが見え、聞こえ、感じられる。
ここで中尾先生、みなさんに質問。
「(対極にある)若冲と等伯はどちらが好き?」
これも面白い質問でした。それぞれに良さがありますよね。
私はどっちも好き〜♪
共通するものを感じるけれど、
等伯は哲学的で無限に広がる印象、
ターナーは、絵の中にその壮大さを閉じ込めている、その天才性で押し込めている。
なるほど。
「ターナーは、西洋画の中ではうるさくない絵ですね。描きたいものの為に全てを省いた。モネにも影響を与えているけれど、このターナーのスタイルの直接的後継者はいません。」
・・・といったところで、さらにターナーは7月の中尾流で後半へと続きます。
後半からでも楽しめる中尾先生の講座です。ぜひご一緒しましょう〜
次回は7月23日(日)です。
*この日、参加者のお庭からクチナシの花が届きました。
小振りのクチナシから、甘いいい香りがいっぱいに広がります。
あぁ〜しあわせ。ありがとうございました♡
今日のオヤツは、マドレーヌと、これもディズニーランドのお土産にいただいた、サクサクのラスク、でした。ごちそうさまでした!
皆さんがお帰りなった後、後片付けをして帰ります。掃除で身体を動かしながら、頭の中は、先生の名ガイドぶりやみなさんの発言や変化を思い出して、あ〜ホントに今日も楽しかった〜。人の気配が少しずつ消えて、静かになっていくこの時間が私はとても好きでリラックスします。こんな時間を頂けて今日も皆さん、中尾先生、ありがとうございました。
*美術のことを知っていても知らなくても、ただ楽しもう!〜
中尾陽一主宰 これまで誰も教えてくれなかった〜絵画鑑賞入門講座
第39回 ターナーとイギリス風景画(その2)
7月23日(日)13時から15時30分