中尾さんしか教えてくれな〜い、絵画鑑賞術。

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中尾陽一さんの「これまで誰も教えてくれなかった〜絵画鑑賞入門講座」の様子、Facebook で各回の雰囲気を写真でお伝えしていたのですが、そうだ〜このジャーナルでお伝えしようと今さら思って、今日は先日の「ゴヤ(2)」をお伝えします。

 

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毎回こんな具合にプロトマニアの壁をスクリーンにして、作品をスライドでドンドン見ます。

 

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ゴヤ(2)では、ゴヤの4大版画と最晩年に描かれた黒い絵シリーズを取り上げました。
4大版画は、「闘牛技」「妄」「戦争の惨禍」「ロスカプリチョス」というタイトルの版画シリーズです。

 

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ゴヤは40歳過ぎて聴覚を失い、音のない世界に生きていました。
版画はどれもやや暗い(モノクロのせいだけじゃなくて)、そして描かれているものやその意味は、不可解で薄気味悪いものです。

 

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これは「妄」から  ”  飛翔法  ” 。

 

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「理性が眠れば妄魔が生まれる」

 

スペインは内乱の時代です。そんな世の中で理性が無くなると愚行が蔓延するということを描いています。版画集の内容は諷刺。ですが、その諷刺内容自体はたいしたことがなく鋭さには欠けるようです。ただとにかくどの絵もなんとなく、不気味〜

 

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「そうですか〜?これなんてかわいいじゃないですか」

と先生。… みんなの反応は、しーん。

 

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これ、カワイイ??? ・・・  かなぁ?

先生の『カワイイ』の基準に、全員から疑惑の目・・・

 

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版画の細かいところはスライドではハッキリしないので、
参加者の方が持って来て下さった図録をまわして全員手元で確認。

 

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確認、確認。

 

 

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これは、「妄」から  ”  女の妄  ”

布の周りをみんなで持って人形を放り投げている遊びの図。
女の妄というか、この遊び自体、それだけで謎の ” 妄〜 “(苦笑)

 

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こんなのもありまして。男性と女性が腰を縄で結われてお互いに反発しています。「われわれを解き放してくれる者はいないのか」というタイトルです。これは結婚のことらしい。
全員でよく見て検討の結果、

「女性は嫌がり、男性は執着する」(笑)

という中尾流白熱教室的解釈に落ち着きました。

 

この後、黒い絵のシリーズを見ましたが、このシリーズは「聾者の家」と言われる大きなお屋敷の壁画として描かれ、「我が子を喰らうサティルヌス」や「魔女の夜宴」に見られるかなりこわ〜い絵でした。でも、その作品はゴヤが人に見せるために描いたものではないのです。死を前にしたゴヤが人生を振り返り、音のない世界で目にして来たこと、体験を浄化するために描いたのではないか、と先生からお話がありました。

ゴヤは耳が聴こえなかったばかりでなく、何度となく感染症で生死の境を彷徨った人です。そして戦争の時代に生きて悲惨な場面を嫌というほど見ていた。
ゴヤが見た人間の営為には、正邪が同時にあり現実と非現実に境界線がなかったのかもしれませんね。

 

中尾流でなければ、知っているようで実はよく知らない作品をあらためて丁寧に見ることもなかっただろうな。

そして知識という情報に縛られず、ひとりひとりの感性からその場で沸き上がる感想や解釈をのびのびと発言し、それを聴けるチャンスはきっと滅多にありません。誰も教えてくれないオリジナル瞬間技。

 

そんな風に、中尾さんの講座は毎回、毎回、新しいエネルギーで動いています。

 

3月は、ゴヤからガラリと変わって、19世紀フランス・ロマン主義の画家、シャセリオーです。あまり知られていない画家です。私も初めて知ったので今からとても楽しみです。
みなさんも一度ご一緒にいかがですか〜♪

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この日のオヤツは、みんな大好き生どらシフォン。奮発してスペイン菓子も+♡

 

 

*美術を知らなくてもだいじょうぶ!

中尾陽一「これまで誰も教えてくれなかった〜絵画鑑賞入門講座」

3月26日(日)13時〜15時30分

お申し込みはこちらから→