中尾流と美術とビックリ!がもたらす自由

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日曜日は、第20回「これまで誰も教えてくれなかった〜絵画鑑賞入門講座」

でした。

もう20回だって!

帰りに中尾先生としみじみ、

「すごいな〜、あっという間に20回」

と話しました。

 

少人数ながら熱心に毎回参加して下さるみなさんと、

ゆっくりじっくり美術と向き合って来ました。

ひとりの芸術家の作品を見ていくということは、

その人の人生をまるごと見て行くようなものですね。

葛藤や模索、歓びや苦しみ、失敗や挫折、屈辱、栄光…

さまざまな光景が見えてきます。

 

第20回では私が大好きなマティスがテーマでしたが、

マティスが何故好きなのか?と問われて、風通しが良い絵だから、と応えました。

マティスはその一見した軽やかでヘタウマ風の作風とは裏腹に、

思考し、冷静にじっくり研究する画家。

制作する時には背広にネクタイ、そして白衣のような作業着を着て、

まるで物理学者のような姿で絵に向かったそうです。

その彼が目指したのは「肘掛け椅子のような絵」でした。

見る者が、ただ心地よさを感じる絵。

 

こんなシンプルで難しいことってあるかしら!

 

よく単純に見える絵を見て、「これなら私にも描けそう」と言いますが、

いやいや、単純なものほど深くて、そこへ到達するまでの過程はくんずほぐれつ。

かっこいいですよね。

軽々と見えることって。

そう見せようとしているのではなく、見えるって。

 

中尾さんのレクチャーの魅力は、

「私は、コレコレなんです、だから、コウです」

という思い込みに、切り込みをいれてくれるところ。

この画家は好き、と思っていても、あちこちから多面的に説明があり、

参加者の意見を聴くうちに、あれ?そうでもないかも、とか、本当にそうかな?

と思える瞬間がふとやってくるところ。

逆に、やっぱりそうだった、ということもあります。

 

美術の「美」ってね、ヒツジが大きい、と書くでしょ。

むかしむかし、生け贄はヒツジで、そのヒツジが大きくてビックリ!

だから美しいものや美術とは、ビックリ!

びっくり!こそ美術の真髄なんだそうです。

びっくり!の瞬間って、すべてから自由!!

 

 

中尾さんが次々繰り出すびっくり!に来年も乞うご期待。

 

中尾流

第20回の参加者全員で先生を囲んで記念撮影。

ね、皆さんとっても素敵な笑顔でしょ。びっくり!の後はリラックス、だからね。