感性が大事ですなぁ〜
とは、プロトマニアの10月絵画観賞入門講座にご参加くださった方のつぶやき。
それは、参加常連メンバーで80代の、
知をこよなく愛するインテリ老紳士のつぶやきでした。
感じるよりも「理解すること」「知識を蓄えること」が無上の喜び、
とお見受けしていましたが、
中尾流白熱教室 で何かが少し動いたような。
中尾流さすが! と同時に、
年齢ではありませんが、立派なキャリアの上にも頑なにならず、
感性が大事と気づき、感じるその柔軟さも素晴らしい。
老紳士の中で「知」の影に隠れていた感性が動いた中尾流、
中尾さんが目指す『知識を増やすことが目的ではなく、… 』
が叶った瞬間だったのかもしれません。
これは、真の知性。
知性とはまさに感性でもあるのですね。
そして感性とは想像力、共感力でもあるのでしょう。
あの日は、世界的に認められながらも戦争画を描いたために日本を追われた画家、
藤田嗣治(FOUJITA)の戦争画 をめぐる意見が活発に飛び交ったのでした。
国から要請された戦争協力画を描いたことで非難された FOUJITA 。
戦争とその時代を体験したのは、参加者では老紳士だけで、
時代に翻弄される一人間の責任を誰が問えるのか、ということを、
静かに言葉を選びながらもいつもとは違う熱を帯びた発言をされていました。
ちょうどその日曜日の晩、
NHK で第一次大戦の頃の状況を映像で伝える番組を見ました。
人間の歴史は闘いの歴史なのだとあらためて感じ、ことばがありませんでした。
個人レベルでも同じようなことを繰り返し、ミクロもマクロも相似形。
とても印象的だったのは、アインシュタインをして天才と言わしめた、
フリッツ・ハーバー博士。
画期的な肥料の研究でノーベル賞まで受賞したユダヤ人科学者ハーバーは、
ユダヤ人虐殺の毒ガスを発明したひとです。
しかし、結局は彼自身ユダヤ人であるが故に迫害され、
亡命先のスイスで死去するのです。
ハーバーは、ドイツにこれほどまでの忠誠を尽くしながらこの仕打ちとは、
こんなに苦々しい思いはない、というようなことを言っています。
忠誠とは、対象に対して尽くす、抱くものではないのだと思いました。
ものや人、会社や国や教義や神、師にすら抱くものではない。
私のちょっとしたズレも、これに似ていたなぁとふと思いました。