
週末の中尾さんの「これまで誰も教えてくれなかった〜絵画鑑賞入門講座」は、
なんとも素敵でした。
どちらかといえば頭脳派の方たちが、中尾流に触れるに従って感覚を起動させたから。
アタマの中のたくさんの知識がちょっとスペースを空けてくれて、
目や理論では測れない芸術の本質が現れたのをキャッチした、そんな感じでした。
年齢も性別も関係なく開かれてあるのが芸術。
レクチャーの中で、アーサー王伝説のシャロット姫のお話が出て来ました。
鏡を通してしか外界を見てはいけない、直接見たらそれは死を意味すると呪いをかけられ、鏡に映る外界を織物にして織り続けて来た乙女シャロット。ところがある夜、彼女は月明かりの下に寄り添う男女の姿を目にしてしまう。それは、彼女がそれまで目にしたものの中で、最も美しく、完璧な調和を表していました。そして彼女は「もうこんな影のような生活はたくさん」とつぶやきます。そんな時、そこを通りかかった円卓の騎士ランスロットを鏡の中に見たシャロットは、彼に魅せられて思わず外を直接見てしまう。とその瞬間に呪いが始まり、彼女が長年織って来た鏡に映る風景の織り糸は千々に乱れ彼女の体を縛ろうとし、鏡は真横にひび割れます。
そしてシャロットは死へと向かう。
このお話の場面をラファエル前派の画家達は好んで作品にしています。
… というところで、私はこの鏡のお話がとても気になってしまいました。
乙女が鏡を通して見ていた外界は本当の姿ではない。確かに。
直接見た途端に始まるのは呪いではなく、実はそれこそが真理?!
幾重にも織り綴られた物語り、言い換えると因果の法則、の糸は千々に切れ切れに乱れ飛んで、
シャロットというエゴは死を迎え永遠の平安へと向かわせる…
ちょっとマニアック??!
みんな夢の中、だもの。