父の贈りもの

wabisuke

私の父が亡くなったのは、元旦のお午でした。

癌とわかってから、2ヶ月、あっという間に逝ってしまいました。

大晦日に病状が急変して、私が病室に泊まり込みました。

雪の大晦日でした。

父は夜中、私に「そろそろだ」と言いました。あとの言葉はうまく聴き取れませんでした。

明けて、元旦はみごとな快晴でした。

 

そういうわけで元旦は父の命日になり、お墓参りが習慣になりました。

今年は都合で2日にお墓へ。

今日の空は真っ青で雲もほとんどなかったのですが、

お墓でぼんやり空を見ていたら、

うっすらとベールのような白い雲が、ふっと、青空に吸い込まれていきました。

偶然見た、青い無限の空に吸い込まれていく瞬間。

 

私の父は旧制高校のバンカラ、のちフェミニストでちょっとロマンチストの怠け者の哲学者。

いつもニコニコして穏やかに見せかけておいて、

芯は誰がなんと言おうと彼は彼のやり方と情熱で、真摯に真理を求めていたと思うのです。

父に限らず、誰もが本当は世界の本質、永遠の真理をどこかでいつか求めるといいます。

 

私は空や雲を見るのが好きです。

去年の元旦の朝は、彩雲を見ました。

今年はあの青空に溶け去る雲。一瞬なのですが、時が止まっているように静かで感動しました。

お正月の空は、父からの贈りもののような気がします。

求めるひとから見つけるひとへ。

マニアック?  オッケー!と父が私を見ていてくれるような気がします。